看護過程とは
看護過程は、患者さんの健康問題を科学的・系統的に解決するための思考プロセスです。
看護過程は以下の6つのステップで構成されます:
- 情報収集(データ収集)
- アセスメント(情報の分析・解釈)
- 看護診断(問題の明確化)
- 計画立案(目標設定・介入計画)
- 実施(介入の実行)
- 評価(成果の確認)
この記事では、各ステップの具体的な書き方を、実例を交えて解説します。
実習記録の基本については、実習記録の書き方も参考にしてください。
Step1:情報収集のポイント
S情報とO情報の違い
情報はS情報(主観的情報)とO情報(客観的情報)に分類します。
| 種類 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| S情報 | 患者本人や家族の言葉 | 「胸が痛い」「食欲がない」 |
| O情報 | 観察・測定で得たデータ | 体温38.5℃、SpO2 95% |
情報収集の方法
- カルテ・記録:入院時情報、既往歴、検査データ
- 観察:表情、皮膚の状態、ADL
- 面接:患者・家族への聞き取り
- フィジカルアセスメント:視診・触診・聴診・打診
検査値の読み方については、検査値の読み方を参照してください。
Step2:アセスメントの書き方
ゴードンの11の機能的健康パターン
アセスメントでは、ゴードンの機能的健康パターンを枠組みとして使うことが多いです:
- 健康知覚-健康管理パターン
- 栄養-代謝パターン
- 排泄パターン
- 活動-運動パターン
- 睡眠-休息パターン
- 認知-知覚パターン
- 自己知覚-自己概念パターン
- 役割-関係パターン
- 性-生殖パターン
- コーピング-ストレス耐性パターン
- 価値-信念パターン
アセスメントの書き方(具体例)
パターン:栄養-代謝パターン
【S情報】「食欲がない」「口の中が乾く」
【O情報】BMI 17.5、Alb 3.0g/dL、食事摂取量3割、口唇乾燥あり
【アセスメント】BMI 17.5は低体重(正常18.5-24.9)であり、Alb 3.0g/dLは低アルブミン血症を示す。食事摂取量が3割と低下しており、「食欲がない」との訴えから、栄養状態の悪化が進行していると考えられる。口唇乾燥と「口の中が乾く」という訴えから、脱水傾向も疑われる。入院による環境変化やストレスが食欲低下の一因と考えられ、栄養状態の改善に向けた介入が必要である。
Step3:看護診断の立て方
NANDA-I看護診断の活用
NANDA-I看護診断は、国際的に標準化された看護診断の分類体系です。
看護診断は以下の3要素で構成されます:
- P(Problem):問題
- E(Etiology):原因・関連因子
- S(Signs/Symptoms):徴候・症状
看護診断の例
PES形式での記述例:
看護診断:栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
関連因子(E):食欲不振、入院によるストレス
診断指標(S):BMI 17.5、Alb 3.0g/dL、食事摂取量30%
Step4:看護計画の立て方
目標設定のポイント
目標はSMARTの原則で設定します:
- S(Specific):具体的
- M(Measurable):測定可能
- A(Achievable):達成可能
- R(Relevant):関連性がある
- T(Time-bound):期限がある
計画立案の例
長期目標:退院時までに、BMIが18.5以上に改善する
短期目標:1週間後までに、食事摂取量が5割以上になる
看護計画(O-P):
- 毎食の摂取量を記録する
- 週1回体重を測定する
- 食事に対する患者の反応を観察する
看護計画(T-P):
- 食事環境を整える(カーテンを閉める、臭いを除去する)
- 好みの食品を確認し、栄養科に相談する
- 少量頻回食の検討
看護計画(E-P):
- 栄養の重要性について説明する
- 退院後の食生活について指導する