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看護実習の目標の立て方|実習記録に書ける具体的な目標例

中村美咲(看護師5年目・実習指導担当)

中村美咲(看護師5年目・実習指導担当)

実習目標の重要性

看護実習において目標設定は学びの方向性を決める重要なものです:

  • 学習の指針:何を学ぶか明確になる
  • 成長の実感:達成度が分かる
  • 指導者との共有:指導を受けやすくなる
  • 記録の質向上:振り返りがしやすくなる

良い目標の条件(SMART)

S:Specific(具体的)

「頑張る」「努力する」ではなく、具体的な行動を書く。

  • ×「コミュニケーションを頑張る」
  • ○「朝の挨拶時に患者さんの表情を観察する」

M:Measurable(測定可能)

達成したかどうか判断できる形で書く。

  • ×「たくさん観察する」
  • ○「バイタル測定時に5つの観察項目を確認する」

A:Achievable(達成可能)

その日に実現できるレベルで設定する。

  • ×「全ての看護技術を習得する」
  • ○「清拭の手順を確認しながら実施する」

R:Relevant(関連性)

実習の目的や患者さんのケアに関連している。

  • ×「教科書を読む」
  • ○「受け持ち患者の疾患について理解を深める」

T:Time-bound(期限)

いつまでに達成するか明確にする。

  • ×「いつか清拭をする」
  • ○「本日の午前中に清拭を実施する」

目標の種類

実習全体の目標

実習期間を通して達成したい大きな目標:

  • 領域の特徴を理解する
  • 基本的な看護技術を実践する
  • 患者さんとの信頼関係を築く
  • 看護過程を展開する

週間目標

1週間で達成したい目標:

  • 受け持ち患者の全体像を把握する
  • 日常生活援助を自立して行う
  • 看護計画を立案・実施・評価する

日々の行動目標

その日に達成する具体的な目標:

  • 午前のバイタル測定時に○○を観察する
  • 清拭時に皮膚の状態を確認する
  • 患者さんに退院後の生活について質問する

目標の立て方の手順

ステップ1:前日の振り返り

  • できたこと、できなかったことを確認
  • 新たに気づいた課題を抽出
  • 患者さんの状態変化を確認

ステップ2:翌日の予定確認

  • 実施予定のケア
  • 検査、処置の予定
  • カンファレンス、指導の予定

ステップ3:目標の設定

  • 技術面の目標
  • 知識面の目標
  • 態度・コミュニケーション面の目標

ステップ4:具体化

  • いつ、誰に、何を、どのようにを明確に
  • 達成基準を設定

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領域別の目標例

基礎看護学実習

1週目

  • 病棟の構造と1日の流れを理解する
  • 受け持ち患者さんに自己紹介し、コミュニケーションをとる
  • バイタルサイン測定を指導者のもとで実施する

2週目

  • 受け持ち患者さんの情報収集を行い、アセスメントする
  • 日常生活援助(清拭、洗髪等)を実施する
  • 看護計画を立案する

成人看護学実習

急性期

  • 術前オリエンテーションの見学をし、患者の不安について考える
  • 術後のバイタルサインと全身状態を観察する
  • 早期離床の援助を実施する

慢性期

  • 疾患の自己管理について患者の理解度を確認する
  • 生活習慣の改善に向けた指導を行う
  • 退院後の生活について患者と話し合う

老年看護学実習

  • 高齢者の身体的・心理的・社会的特徴を観察する
  • ADLの状態を評価し、自立支援の視点でケアを行う
  • 認知機能に配慮したコミュニケーションをとる
  • 転倒リスクをアセスメントし、予防策を実施する

母性看護学実習

  • 妊婦健診に同行し、妊娠経過の観察を学ぶ
  • 産後の母体の観察(子宮復古、悪露)を行う
  • 授乳場面を見学し、母乳育児支援を学ぶ
  • 新生児のバイタルサイン測定と観察を行う

小児看護学実習

  • 発達段階に応じたコミュニケーションをとる
  • 安全に配慮した環境整備を行う
  • 遊びを通して子どもの発達を観察する
  • 家族への支援について考える

精神看護学実習

  • 患者さんの話を傾聴し、思いを受け止める
  • プロセスレコードを用いて自己の関わりを振り返る
  • 患者さんの強みを見つけ、ストレングスモデルで考える
  • 地域生活支援について学ぶ

在宅看護論実習

  • 療養者の生活環境を観察し、在宅での工夫を学ぶ
  • 家族介護者の負担について理解する
  • 多職種連携について訪問看護師から学ぶ
  • 在宅での医療処置を見学する

具体的な目標例文

技術面の目標

  • 「午前中のバイタル測定時に、手順を確認しながら正確に血圧測定を行う」
  • 「10時からの清拭時に、皮膚の状態(発赤、乾燥、傷)を観察し記録する」
  • 「昼食時の食事介助において、誤嚥予防のための姿勢と食事ペースに注意する」
  • 「14時の体位変換時に、褥瘡好発部位を観察し、皮膚の状態を確認する」

知識面の目標

  • 「受け持ち患者さんの服用している薬3種類の作用と副作用を調べる」
  • 「糖尿病の合併症について理解し、観察すべき項目を明確にする」
  • 「術後の痛みのメカニズムを理解し、疼痛コントロールの方法を学ぶ」

コミュニケーション面の目標

  • 「朝の挨拶時に、患者さんの表情や声のトーンを観察し、体調を確認する」
  • 「バイタル測定時に、昨夜の睡眠状況と今朝の気分について質問する」
  • 「午後の面会時間後に、家族との会話について患者さんの思いを聴く」

アセスメント面の目標

  • 「収集した情報をゴードンの機能的健康パターンで整理する」
  • 「得られた情報から看護問題を抽出し、優先順位をつける」
  • 「患者さんの強みと弱みを分析し、個別性のある看護計画を立案する」

目標達成のための振り返り

振り返りの視点

  • できたこと:何ができたか具体的に
  • できなかったこと:なぜできなかったか分析
  • 学んだこと:新たな気づき
  • 次の課題:明日への目標につなげる

振り返りの例

「本日の目標:バイタル測定時に血圧測定を正確に行う」

振り返り

  • できたこと:手順を確認しながら、マンシェットの巻き方と聴診器の位置を正しく行えた
  • 課題:緊張して測定に時間がかかった。患者さんへの声かけが少なかった
  • 明日の目標:測定時に患者さんに声をかけながら、リラックスした状態で血圧測定を行う

よくある失敗と対策

失敗1:目標が抽象的すぎる

対策:5W1H(いつ、どこで、誰に、何を、なぜ、どのように)で具体化

失敗2:目標が高すぎる

対策:スモールステップで段階的に設定

失敗3:毎日同じ目標

対策:前日の振り返りを活かし、発展させる

失敗4:患者さんに関連していない

対策:受け持ち患者さんの状態や課題と結びつける

まとめ

実習目標の立て方のポイント:

  1. SMARTの法則:具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限
  2. 前日の振り返り:できたこと、できなかったことを活かす
  3. 具体的な行動:いつ、誰に、何を、どのようにを明確に
  4. 達成基準:何ができたら達成かを設定
  5. 患者さん中心:患者さんのケアに関連づける

目標設定は実習の学びを深める重要なスキルです。慣れるまでは時間がかかりますが、毎日練習することで上達します。

実習記録の書き方は実習記録・レポートの書き方も参考にしてください。

よくある質問

Q毎日同じような目標になってしまいます。どうすればいいですか?

前日の振り返りを活かして、できたことは次のステップへ進め、できなかったことは再挑戦しましょう。患者さんの状態変化に合わせた目標設定や、技術面・コミュニケーション面など視点を変えることで、目標のバリエーションが増えます。

Q目標が抽象的だと指導者に指摘されます。

「いつ」「誰に」「何を」「どのように」を具体的に書きましょう。例えば「コミュニケーションをとる」ではなく「午前中のバイタル測定時に、Aさんに昨夜の睡眠状況について質問する」のように具体化します。

Q達成できない目標を立ててしまいます。

目標は高すぎず、その日に達成可能なレベルに設定しましょう。大きな目標は小さなステップに分解します。また、初めて行う技術は「見学する」「手順を確認する」など、現実的な目標から始めましょう。

Q目標と振り返りがうまくつながりません。

目標を立てるときに、評価基準も一緒に考えておきましょう。「何ができたら達成」なのかを明確にすることで、振り返りがしやすくなります。数値化できるものは数値で、できないものは具体的な行動で評価します。

中村美咲(看護師5年目・実習指導担当)

中村美咲(看護師5年目・実習指導担当)

執筆者

看護学生の学習をサポートするため、実体験に基づいた情報を発信しています。

看護師免許

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