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看護診断の立て方|NANDAを使った看護問題の抽出方法

斎藤美和(看護師9年目・看護教育経験)

斎藤美和(看護師9年目・看護教育経験)

看護診断とは

看護診断は看護師が独自に判断し介入できる健康問題です:

  • 医学診断:疾患を診断(医師が行う)
  • 看護診断:健康問題を診断(看護師が行う)

看護師が介入することで改善・解決できる問題を特定します。

NANDAとは

NANDA(北米看護診断協会)は看護診断を標準化した分類体系です:

  • 世界共通の看護診断ラベル
  • 定義、診断指標、関連因子が明確
  • 定期的に改訂される

看護診断の構成要素

  • 診断ラベル:看護診断の名称
  • 定義:その診断が何を意味するか
  • 診断指標:その診断があることを示すサイン
  • 関連因子:問題を引き起こしている要因
  • 危険因子:リスク状態の場合の要因

看護診断の立て方

ステップ1:情報収集

  • 患者さんから聞き取り
  • カルテから情報収集
  • 観察から得た情報
  • 家族からの情報

ステップ2:アセスメント

  • 情報を整理・分析
  • 正常と異常を判断
  • なぜそうなっているか考察

ステップ3:看護問題の抽出

  • アセスメントから問題を特定
  • 看護介入で解決できる問題か確認
  • NANDAの診断ラベルに当てはめる

ステップ4:看護診断の記述

以下の形式で記述します:

診断ラベル + 関連因子 + 診断指標

例:「非効果的気道浄化(関連因子:喀痰の粘稠度上昇、診断指標:湿性咳嗽、喀痰喀出困難)」

よく使う看護診断一覧

呼吸器系

  • 非効果的気道浄化:気道から分泌物を除去できない
  • ガス交換障害:酸素と二酸化炭素の交換が障害
  • 非効果的呼吸パターン:呼吸が不十分

循環器系

  • 心拍出量減少:心臓のポンプ機能低下
  • 非効果的末梢組織灌流:末梢の血流低下
  • 体液量過剰:体内の水分過剰

栄養・代謝

  • 栄養摂取バランス異常:必要量以下
  • 嚥下障害:飲み込みの障害
  • 体液量不足:脱水

排泄

  • 便秘
  • 下痢
  • 排尿障害

活動・休息

  • 活動耐性低下:活動に耐えられない
  • 睡眠パターン混乱:睡眠の問題
  • セルフケア不足:清潔、更衣、排泄など

皮膚・組織

  • 皮膚統合性障害:皮膚の損傷
  • 皮膚統合性障害リスク状態:褥瘡リスク
  • 組織統合性障害:組織の損傷

認知・知覚

  • 急性疼痛:突然の痛み
  • 慢性疼痛:長期間の痛み
  • 急性混乱:せん妄

心理・社会

  • 不安
  • 恐怖
  • 悲嘆
  • 社会的孤立

リスク状態

  • 転倒リスク状態
  • 感染リスク状態
  • 出血リスク状態
  • 誤嚥リスク状態

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優先順位のつけ方

マズローの欲求階層で考える

  1. 生理的欲求:呼吸、循環、栄養(最優先)
  2. 安全の欲求:転倒予防、感染予防
  3. 社会的欲求:孤立、コミュニケーション
  4. 承認の欲求:自尊心
  5. 自己実現:目標達成

優先順位を決める視点

  • 生命に関わる問題:最優先
  • 患者が困っている問題:QOLに影響
  • 入院目的に関連する問題:治療の中心
  • 早期介入で改善できる問題:効果が見込める

具体例:肺炎患者の看護診断

患者情報

70歳男性、肺炎で入院。発熱38.5℃、湿性咳嗽、黄色痰、SpO2 94%(室内気)。食欲低下、倦怠感あり。

看護診断の抽出

#1 非効果的気道浄化

  • 関連因子:粘稠な喀痰、発熱による脱水
  • 診断指標:湿性咳嗽、黄色痰、喀痰喀出困難

#2 ガス交換障害

  • 関連因子:肺胞の炎症による換気障害
  • 診断指標:SpO2 94%、呼吸困難感

#3 栄養摂取バランス異常:必要量以下

  • 関連因子:発熱による代謝亢進、食欲低下
  • 診断指標:食事摂取量5割以下、倦怠感

#4 感染リスク状態

  • 危険因子:高齢、低栄養、入院による環境変化

よくある間違い

間違い1:医学診断を書く

× 肺炎
○ 非効果的気道浄化

間違い2:関連因子がない

× 便秘
○ 便秘(関連因子:活動量低下、水分摂取不足)

間違い3:看護で解決できない問題

× 糖尿病
○ 非効果的自己健康管理(糖尿病の管理が困難)

まとめ

看護診断の立て方のポイント:

  1. 情報収集・アセスメントが基本
  2. NANDAの診断ラベルを使う
  3. 関連因子・診断指標を明記
  4. 優先順位をつける
  5. 看護で解決できる問題を挙げる

看護診断は看護過程の重要なステップです。繰り返し練習して、身につけましょう。

看護過程全体については看護過程の進め方も参考にしてください。

よくある質問

Q看護診断と医学診断の違いは何ですか?

医学診断は疾患を診断するもの(例:肺炎、糖尿病)、看護診断は看護介入で解決できる健康問題を診断するもの(例:非効果的気道浄化、栄養摂取バランス異常)です。看護師が独自に介入できる問題を看護診断として挙げます。

QNANDAの看護診断はどうやって覚えますか?

全て覚える必要はありません。よく使う診断(非効果的気道浄化、皮膚統合性障害リスク状態など)から覚え、実習で使いながら覚えていきましょう。NANDA看護診断の本を1冊持っておくと便利です。

Q看護診断がたくさん挙がりすぎます。

すべてを看護診断として挙げる必要はありません。優先順位をつけ、上位3〜5個に絞りましょう。生命に関わる問題、患者が困っている問題、入院目的に関連する問題を優先します。

Q看護診断と看護問題は違いますか?

厳密には異なりますが、学校によっては同義として使う場合もあります。看護診断はNANDAなどの分類に基づくもの、看護問題はより広く患者の問題を指すこともあります。学校の指導に従いましょう。

斎藤美和(看護師9年目・看護教育経験)

斎藤美和(看護師9年目・看護教育経験)

執筆者

看護学生の学習をサポートするため、実体験に基づいた情報を発信しています。

看護師免許

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